言語学カフェ

English

Top Publications Hobby

my daughter at Guam

言語学の世界にようこそ!

私の専門は言語学で、特に統語論や意味論に興味があります、といっても、よくわからないと思いますので、具体例をあげたいと思います。大体、皆さんが母語や学んでいる外国語について疑問を持つのは、意味的な側面かと思います。たとえば、英語でput onだと、衣服、靴、帽子(しかも体重の脂肪まで)などの着服に使え、オールマイティですが、日本語では、いちいち、「着る」、「履く」、「被る」等区別をつけます。このように語とその意味の対応は、言語ごとに異なり、また、目も向きやすいと思います。そして、このような問題であれば、辞書等を調べたりすることで、大体解決できると思います

それでは、そう単純にいかない例をあげたいと思います。「誰もがどこに行ったの?」「誰かがどこに行ったの?」「健かメリーがどこにいったの?」。これらの文を読んで、ちょっと変だと思いませんか?でもなぜ?まず、主語が『定かでない』から駄目であるという仮説を立ててみます。しかし、「誰もがそれぞれどこに行ったの?」「みんなどこに行ったの?」「ある一人の人がどこに行ったの?」「健またはメリーがどこに行ったの?」のように、はっきり誰を指すか『定かでない』主語を使っても、大丈夫な時があります。よって、最初の仮説は却下。おそらく、主語に原因があるのは確かそうなので、駄目なものに共通するものは何かを探る必要があります。それは何か?この辺から、言語学の知識が必要になってきますが、大体、(wh)疑問文をおかしくする主語は、フォーカスがかかっています。日本語だと、「か」、「も」、「さえ」などが付く句がフォーカスを担います。仮にここまで正しいとして、なぜ、フォーカスを持つ主語が疑問詞の前に置かれると文としておかくしなるのでしょうか?もうこれ以上は、ここでは考察しませんが、ひとつの答えに至るまでに、英語をはじめ他の言語の(wh)疑問文との比較も必要になってきて、日本語の疑問を解くつもりが日本語の問題に留まらなくなります。ここで言いたいことは言語学は奥が深いということです。簡単に見つかる答えよりも、努力して見つかる答えの方が価値があるではないでしょうか?このような考えを持つ人に言語学は合うと私は考えます。

興味のある方は、こちらの言語学関連参考文献リスト へ。

Profile

1973年2月28日生まれ。 イギリス留学後、タイの大学での教授経験を経て、現在、愛知県在住。シンガポール人の妻と娘の3人家族。趣味はピアノ。




掲示板はこちら(Message Board)



inserted by FC2 system